膝の痛みは、日常生活に支障をきたす悩ましい症状です。その痛みは、加齢によるもの、スポーツによるもの、あるいは日常の何気ない動作で発生するものなど、原因も様々です。痛みの種類や原因を正しく理解することは、適切な対処法を見つける第一歩と言えるでしょう。この記事では、膝の痛みの種類を分かりやすく解説し、それぞれの痛みに特徴的な症状や原因、そして効果的な改善策をまとめています。変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、鵞足炎、オスグッド・シュラッター病、関節リウマチなど、代表的な膝の痛みの種類を網羅的に解説することで、読者の皆様がご自身の痛みに合った情報を見つけられるように配慮しました。さらに、痛みのメカニズムや放置した場合のリスク、日常生活での注意点なども解説しています。膝の痛みを根本から改善し、快適な生活を取り戻すためのヒントが満載の保存版です。この記事を通して、膝の痛みへの理解を深め、適切な対処法を見つけるためのお手伝いができれば幸いです。
1. 膝の痛みの種類を解説
膝の痛みは、その原因によって様々な種類があります。痛みの種類を正しく理解することは、適切な対処法を見つける第一歩です。ここでは、代表的な膝の痛みとその特徴について解説します。
1.1 変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接擦れ合うことで炎症や痛みを生じる病気です。加齢とともに発症しやすく、中高年に多く見られます。
1.1.1 初期症状
初期症状は、立ち上がりや階段の上り下りなど、動作開始時に膝に軽い痛みを感じることがあります。安静にしていると痛みは治まりますが、進行すると徐々に痛む時間が長くなります。また、膝にこわばりを感じることもあります。初期の段階では自覚症状が少ない場合もあるため、注意が必要です。
1.1.2 中期症状
中期になると、痛みが持続するようになり、正座や階段の上り下りが困難になります。膝が腫れたり、水が溜まることもあります。日常生活に支障が出始める時期です。
1.1.3 末期症状
末期では、常に強い痛みがあり、歩行も困難になります。膝の変形が目立ち、O脚になることもあります。日常生活に大きな制限がかかるようになります。
1.2 半月板損傷
半月板は大腿骨と脛骨の間にあるC型の軟骨で、膝にかかる衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。スポーツや転倒など、膝を強くひねったり、衝撃が加わったりすることで損傷することがあります。
1.2.1 原因と症状
スポーツ中の急激な方向転換や、転倒などが主な原因です。損傷の程度によりますが、膝の痛み、腫れ、引っ掛かり感、クリック音、膝が曲がらないなどの症状が現れます。損傷の部位や程度によって症状は様々です。
1.2.2 診断と治療
診断にはMRI検査などが用いられます。治療法は、保存療法(安静、リハビリテーションなど)や手術療法があります。損傷の程度や患者の状態に合わせて適切な治療法が選択されます。
1.3 靭帯損傷
靭帯は、骨と骨をつなぎ、関節を安定させる役割を持つ組織です。膝には、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つの主要な靭帯があります。スポーツや事故などで膝に強い力が加わると、これらの靭帯が損傷することがあります。
1.3.1 前十字靭帯損傷
スポーツなどで膝を強くひねったり、急停止した際に起こりやすい損傷です。「ブチッ」という音が聞こえる場合もあり、損傷直後は激しい痛みや腫れが生じます。膝の不安定感を感じることが特徴です。
1.3.2 内側側副靭帯損傷
膝の外側から強い力が加わった際に損傷しやすく、痛みや腫れが生じます。膝の内側に痛みを感じることが多いです。
1.3.3 外側側副靭帯損傷
膝の内側から強い力が加わった際に損傷しやすく、痛みや腫れが生じます。膝の外側に痛みを感じることが多いです。
1.4 鵞足炎
鵞足とは、膝の内側にある縫匠筋、薄筋、半腱様筋という3つの筋肉が付着する部分の総称です。ランニングやジャンプなど、膝を繰り返し使う動作によって、この鵞足部に炎症が起こることを鵞足炎といいます。
1.4.1 症状と原因
膝の内側下部に痛みを感じ、特に階段の上り下りやランニングなどで痛みが強くなります。安静にしていると痛みは軽減することが多いです。
1.4.2 治療と予防
安静、アイシング、ストレッチなどが有効です。再発予防には、太ももの筋力トレーニングや、正しいフォームでの運動が重要です。
1.5 オスグッド・シュラッター病
オスグッド・シュラッター病は、成長期の子供に多く見られる膝の痛みです。スポーツなどで膝を繰り返し使うことで、膝のお皿の下にある脛骨粗面に炎症が起こります。
1.5.1 症状と原因
膝のお皿の下に痛みや腫れが生じ、運動時に痛みが強くなります。成長期のスポーツをしている子供に多く見られます。
1.5.2 治療と予防
安静、アイシング、ストレッチなどが有効です。成長痛の一種であるため、成長が止まると自然に治る場合も多いですが、痛みが強い場合は適切な処置が必要です。
1.6 関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こる病気です。膝以外にも、手や足の関節など、複数の関節に左右対称性に症状が現れることが多いです。全身性の病気であるため、他の症状を伴う場合もあります。
1.6.1 症状と原因
関節の痛み、腫れ、こわばりなどの症状が現れます。朝起きた時に関節のこわばりが強いのが特徴です。原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境要因などが関わっていると考えられています。
1.6.2 治療と予防
薬物療法、リハビリテーションなどが行われます。早期発見、早期治療が重要です。
2. 膝の痛みの原因
膝の痛みは様々な原因で引き起こされます。主な原因を以下にまとめました。
原因 | 解説 |
---|---|
加齢 | 年齢を重ねるにつれて、関節軟骨がすり減り、変形性膝関節症のリスクが高まります。 |
肥満 | 体重が増加すると、膝関節への負担が大きくなり、痛みが生じやすくなります。 |
運動不足 | 運動不足によって筋力が低下すると、関節が不安定になり、痛みやすくなります。 |
過度な運動 | 過度な運動は、関節や靭帯に負担をかけ、損傷のリスクを高めます。 |
怪我 | 転倒やスポーツなどによる怪我は、膝の痛みを引き起こす直接的な原因となります。 |
遺伝 | 変形性膝関節症など、一部の膝の痛みは遺伝的な要因が関わっている場合があります。 |
冷え | 冷えによって血行が悪くなると、筋肉や関節が硬くなり、痛みを感じやすくなります。 |
3. 膝の痛みの解説
膝の痛みは、単なる症状ではなく、身体からの重要なサインです。痛みのメカニズムや放置した場合のリスク、受診の目安などを理解することで、適切な対応ができます。
3.1 痛みのメカニズム
膝の痛みは、関節軟骨のすり減り、炎症、靭帯や腱の損傷、筋肉の緊張など、様々な要因によって引き起こされます。痛みの原因によって、痛みの種類や程度、感じ方も異なります。
3.2 放置するとどうなるか
膝の痛みを放置すると、症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。早期に適切な対処をすることが大切です。
3.3 医療機関への受診目安
安静にしていても痛みが続く場合、膝に腫れや熱感がある場合、膝が曲がらない、歩行が困難な場合は、医療機関を受診しましょう。自己判断で放置せず、専門家の診断を受けることが重要です。
4. 膝の痛みに効果的な改善策
膝の痛みに対しては、その原因や症状に合わせた様々な改善策があります。ここでは、代表的な改善策を紹介します。
4.1 運動療法
運動療法は、膝関節周辺の筋肉を強化し、関節の安定性を高めることで痛みを軽減する効果が期待できます。
4.1.1 ストレッチ
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる効果があります。痛みを感じない範囲で行うことが大切です。
4.1.2 筋力トレーニング
筋力トレーニングは、膝関節周辺の筋肉を強化し、関節を安定させる効果があります。適切な負荷で行うことが重要です。
4.2 薬物療法
薬物療法は、痛みや炎症を抑える効果があります。医師の指示に従って服用することが大切です。
4.2.1 痛み止め
痛み止めは、痛みを軽減する効果があります。一時的な対処法であり、根本的な治療にはなりません。
4.2.2 ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、関節液の粘性を高め、関節の動きを滑らかにする効果があります。
4.3 手術療法
保存療法で効果がない場合、手術療法が検討されることがあります。
4.3.1 人工関節置換術
人工関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。重度の変形性膝関節症などに有効です。
4.3.2 関節鏡手術
関節鏡手術は、小さな切開部から関節鏡を挿入し、関節内の状態を確認しながら行う手術です。半月板損傷や靭帯損傷などに有効です。
4.4 日常生活での注意点
日常生活での注意点を守ることで、膝の痛みを予防・軽減することができます。
4.4.1 正しい姿勢
正しい姿勢を保つことで、膝関節への負担を軽減することができます。猫背や反り腰にならないように注意しましょう。
4.4.2 適度な運動
適度な運動は、膝関節周辺の筋肉を強化し、関節の安定性を高める効果があります。ウォーキングや水泳などがおすすめです。
4.4.3 体重管理
体重が増加すると、膝関節への負担が大きくなります。適正体重を維持することが大切です。
4.4.4 冷え対策
冷えによって血行が悪くなると、筋肉や関節が硬くなり、痛みを感じやすくなります。温めることで血行を促進し、痛みを軽減することができます。
5. 膝の痛みのセルフケア
日常生活でできるセルフケアも、膝の痛みの改善に役立ちます。
5.1 温熱療法
温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。温タオルやカイロなどで温めましょう。
5.2 冷却療法
冷却療法は、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。氷嚢や保冷剤などで冷やしましょう。
5.3 サポーターの使用
サポーターは、膝関節をサポートし、安定性を高める効果があります。症状に合わせた適切なサポーターを選びましょう。
5.4 マッサージ
マッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進する効果があります。優しくマッサージしましょう。
5.5 ストレッチ
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる効果があります。痛みを感じない範囲で行いましょう。
6. 膝の痛みの原因
膝の痛みは、さまざまな要因が複雑に絡み合って引き起こされます。年齢を重ねるにつれて発症リスクが高まるものもあれば、生活習慣や日々の動作が原因となるものもあります。まずは、どのような原因が考えられるのかを理解し、ご自身の痛みに当てはまるものがないか確認してみましょう。
6.1 加齢
年齢を重ねると、どうしても関節軟骨や骨の老化は避けられません。軟骨はクッションの役割を果たしていますが、加齢とともにすり減り、骨同士が直接ぶつかり合うことで痛みが生じます。変形性膝関節症は、まさにこの加齢による変化が主な原因です。
6.2 肥満
体重が増加すると、膝にかかる負担も大きくなります。特に階段の上り下りや立ち上がる動作など、膝を曲げ伸ばしする際に大きな負荷がかかり、軟骨の摩耗を加速させたり、炎症を引き起こしたりする原因となります。適正体重を維持することは、膝の健康を守る上で非常に重要です。
6.3 運動不足
運動不足は、膝関節周辺の筋肉を弱らせ、関節の安定性を低下させます。すると、ちょっとした動作でも膝に負担がかかりやすく、痛みを生じる原因となります。適度な運動は、筋肉を強化し、膝関節を保護するために不可欠です。
6.4 過度な運動
運動不足とは逆に、過度な運動も膝の痛みを引き起こす原因となります。激しい運動や長時間の運動は、膝関節に大きな負担をかけ、軟骨や靭帯などを損傷するリスクを高めます。運動の種類や量、頻度には注意が必要です。特にランニングやジャンプなどの繰り返しの動作は負担が大きいため、適切なフォームで行う、休憩を挟むなど工夫が必要です。
6.5 怪我
スポーツや日常生活での転倒、事故などによる怪我も、膝の痛みの原因となります。半月板損傷や靭帯損傷などは、強い衝撃や無理な動作によって引き起こされます。また、一度怪我をした部分が、その後も痛みやすくなるケースもあります。
6.6 遺伝
膝の痛みに関連する遺伝的要因も存在します。例えば、関節の形状や軟骨の質などは遺伝によって影響を受ける場合があり、特定の疾患のリスクを高める可能性があります。家族に膝の痛みを抱えている人がいる場合は、自身も注意が必要です。
6.7 冷え
冷えは、血行不良を引き起こし、筋肉や関節の柔軟性を低下させます。血行が悪くなると、膝関節周辺の組織への栄養供給が滞り、痛みや炎症が悪化しやすくなります。特に冬場は、膝を温めるなどの対策を心がけましょう。
6.8 その他の要因
上記以外にも、膝の痛みを引き起こす要因は様々です。例えば、
要因 | 詳細 |
---|---|
姿勢の悪さ | 猫背やO脚、X脚などの姿勢の悪さは、膝関節への負担を偏らせ、痛みを引き起こす原因となります。 |
靴 | 合わない靴を履いていると、足や膝に負担がかかり、痛みを生じる原因となります。特に、ヒールが高い靴や底が薄い靴は注意が必要です。 |
ストレス | ストレスは、自律神経のバランスを崩し、筋肉の緊張を高め、痛みを悪化させる要因となります。 |
感染症 | 細菌感染などによる関節炎も、膝の痛みを引き起こすことがあります。 |
痛風 | 尿酸が関節に蓄積することで炎症が起こり、激しい痛みを引き起こす病気です。 |
偽痛風 | 痛風と似た症状を示しますが、原因となる物質が異なる病気です。 |
ご自身の痛みの原因を特定し、適切な対処をすることが重要です。少しでも気になる症状がある場合は、専門家への相談をおすすめします。
7. 膝の痛みの解説
膝の痛みは、日常生活に大きな支障をきたす症状です。痛みの感じ方や症状の出方は人それぞれであり、その背景にある原因も多岐にわたります。膝の痛みを正しく理解するためには、痛みのメカニズム、放置した場合のリスク、そして医療機関への受診目安を知る必要があります。
7.1 痛みのメカニズム
膝関節は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)の3つの骨で構成され、これらを軟骨、靭帯、半月板などが支え、滑らかな動きを可能にしています。膝の痛みは、これらの組織のいずれかが損傷したり炎症を起こしたりすることで発生します。例えば、変形性膝関節症では、軟骨がすり減ることで骨同士がぶつかり、炎症や痛みを生じます。また、スポーツなどで半月板や靭帯を損傷した場合も、強い痛みや腫れが生じることがあります。加齢や肥満、過度な運動なども、膝関節への負担を増大させ、痛みの原因となる可能性があります。
7.2 放置するとどうなるか
膝の痛みを放置すると、症状が悪化し、日常生活にさらに大きな支障をきたす可能性があります。初期段階では軽い痛みや違和感程度であっても、放置することで軟骨の損傷が進行したり、炎症が広範囲に及んだりすることがあります。変形性膝関節症の場合、軟骨のすり減りが進行すると、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成され、さらに強い痛みや関節の変形を引き起こす可能性があります。また、半月板や靭帯の損傷を放置すると、関節の不安定性を招き、将来的に変形性膝関節症のリスクを高める可能性も懸念されます。痛みを我慢し続けると、日常生活での歩行や階段の上り下り、正座などが困難になるだけでなく、精神的なストレスや生活の質の低下にもつながる可能性があります。
7.3 医療機関への受診目安
膝の痛みを感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。特に以下のような症状がある場合は、速やかに受診しましょう。
症状 | 説明 |
---|---|
安静にしていても痛む | 安静時痛は、炎症が進行しているサインです。 |
膝が腫れている、熱を持っている | 腫れや熱感は、炎症や関節液の貯留を示唆しています。 |
膝を曲げ伸ばしできない | 関節の可動域制限は、深刻な損傷の可能性があります。 |
歩行が困難 | 日常生活に支障が出ている場合は、早期の治療が必要です。 |
階段の上り下りがつらい | 膝への負担が大きい動作が困難な場合は、注意が必要です。 |
夜間痛がある | 夜間痛は、変形性膝関節症の進行を示唆している可能性があります。 |
急に膝に激痛が走り、歩けなくなった | 靭帯や半月板の損傷などが疑われます。 |
膝に力が入らない、ぐらつく | 関節の不安定性は、放置すると危険です。 |
これらの症状は、重大な疾患のサインである可能性があります。自己判断で放置せず、専門家の診断を受けることが重要です。早期に適切な治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、健康な膝を取り戻すことができるでしょう。
8. 膝の痛みに効果的な改善策
膝の痛みを効果的に改善するためには、痛みの原因や症状に合わせた適切なアプローチが重要です。ここでは、運動療法、薬物療法、手術療法、日常生活での注意点など、様々な改善策をご紹介します。
8.1 運動療法
運動療法は、膝関節の柔軟性を高め、周囲の筋肉を強化することで、痛みを軽減し、関節機能を改善する効果が期待できます。痛みがある場合は無理せず、専門家の指導のもとで行うようにしましょう。
8.1.1 ストレッチ
ストレッチは、膝関節の柔軟性を高め、筋肉の緊張を和らげる効果があります。大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎなどのストレッチを毎日行うことで、膝の動きをスムーズにすることができます。具体的には、太もも前面のストレッチ、太もも裏側のストレッチ、ふくらはぎのストレッチなどが有効です。痛みのない範囲で、気持ち良いと感じる程度に行いましょう。
8.1.2 筋力トレーニング
筋力トレーニングは、膝関節を支える筋肉を強化し、安定性を高める効果があります。スクワットやレッグプレスなど、膝に負担をかけにくい方法で、徐々に負荷を上げていくことが大切です。水中ウォーキングや水中体操も、膝への負担が少ないためおすすめです。トレーニング中は正しいフォームを意識し、痛みが出た場合はすぐに中止しましょう。
8.2 薬物療法
薬物療法は、痛みや炎症を抑えることを目的として行われます。医師の指示に従って、適切な薬剤を使用することが重要です。
8.2.1 痛み止め
痛み止めは、鎮痛効果により、膝の痛みを緩和するのに役立ちます。ロキソプロフェンナトリウムやアセトアミノフェンなど、様々な種類の痛み止めがあります。医師の指示に従い、適切な種類と量を使用しましょう。副作用にも注意が必要です。
8.2.2 ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、膝関節内のヒアルロン酸を補うことで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減する効果が期待できます。関節液の粘性を高め、クッションの役割を果たすことで、膝への負担を軽減します。
8.3 手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、症状が重い場合には、手術療法が検討されます。
8.3.1 人工関節置換術
人工関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。変形性膝関節症の末期などで、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合に適応されます。
8.3.2 関節鏡手術
関節鏡手術は、小さな切開部から関節鏡を挿入し、関節内の状態を確認しながら行う手術です。半月板損傷や靭帯損傷などの治療に用いられます。
8.4 日常生活での注意点
日常生活においても、膝への負担を軽減するための工夫が大切です。正しい姿勢を保ち、適度な運動を心がけ、体重管理にも気を配りましょう。
注意点 | 具体的な方法 |
---|---|
正しい姿勢 | 猫背や反り腰にならないように、背筋を伸ばし、骨盤を立てることを意識しましょう。立っている時も座っている時も、正しい姿勢を保つことが重要です。 |
適度な運動 | ウォーキングや水泳など、膝に負担の少ない運動を regelmäßig 行うようにしましょう。運動不足は、膝関節の柔軟性を低下させ、痛みを悪化させる可能性があります。 |
体重管理 | 肥満は膝への負担を増大させるため、適切な体重を維持することが重要です。バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。 |
冷え対策 | 冷えは血行を悪くし、痛みを悪化させる可能性があります。温かい服装を心がけ、入浴などで体を温めるようにしましょう。 |
これらの改善策は、痛みの原因や症状によって適切な方法が異なります。自己判断せず、専門家に相談し、適切な指導を受けることが大切です。
9. 膝の痛みのセルフケア
膝の痛みは、日常生活に支障をきたす辛い症状です。医療機関への受診が最優先ですが、自宅でもできるセルフケアを併用することで、痛みを和らげ、回復を促進することができます。セルフケアはあくまで補助的な手段であり、痛みが強い場合や長引く場合は、必ず専門家へ相談しましょう。
9.1 温熱療法
温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。痛みが慢性的な場合や、冷えを感じる場合に有効です。温タオルや使い捨てカイロなどを患部に当てて温めましょう。
低温やけどに注意しながら、心地よい温度で15~20分程度行うのが目安です。
9.1.1 温熱療法の種類
種類 | 方法 | 注意点 |
---|---|---|
蒸しタオル | タオルを濡らして絞り、電子レンジで温める | 温度に注意 |
使い捨てカイロ | 患部に貼る | 低温やけどに注意 |
入浴 | 湯船に浸かる | 長湯は避ける |
9.2 冷却療法
冷却療法は、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。急性期の痛みや、腫れ、熱感がある場合に有効です。氷水を入れた袋や保冷剤などをタオルに包み、患部に当てて冷やしましょう。
凍傷に注意し、15~20分程度を目安に行います。感覚がなくなってきたら、冷却を中断しましょう。
9.2.1 冷却療法の種類
種類 | 方法 | 注意点 |
---|---|---|
氷水 | 氷水を袋に入れ、タオルに包んで患部に当てる | 凍傷に注意 |
保冷剤 | タオルに包んで患部に当てる | 凍傷に注意 |
冷湿布 | 患部に貼る | 長時間使用を避ける |
9.3 サポーターの使用
サポーターは、膝関節を安定させ、痛みを軽減する効果があります。日常生活での動きをサポートし、再発予防にも繋がります。症状や目的に合わせて適切なサポーターを選びましょう。装着方法を守り、締め付けすぎないように注意してください。
サイズが合わないサポーターの使用は、血行不良やむくみなどを引き起こす可能性がありますので、適切なサイズを選びましょう。
9.3.1 サポーターの種類
種類 | 特徴 |
---|---|
オープンタイプ | 着脱が容易、圧迫力は弱め |
クローズドタイプ | 固定力が高い、保温効果あり |
テーピングタイプ | 固定力の調整が可能 |
9.4 マッサージ
マッサージは、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。ただし、炎症が強い急性期には避け、痛みが落ち着いてきた慢性期に行いましょう。専門家によるマッサージだけでなく、セルフマッサージも効果的です。優しく、ゆっくりと行うことが大切です。強い痛みを感じる場合は、すぐに中止しましょう。
9.4.1 セルフマッサージの注意点
- 清潔な手で行う
- 痛みがある部位を強く押さない
- 無理のない範囲で行う
9.5 ストレッチ
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる効果があります。痛みを感じない範囲で、ゆっくりと行いましょう。入浴後など、体が温まっている時に行うのが効果的です。反動をつけたり、無理に伸ばしたりするのは避けましょう。
これらのセルフケアは、膝の痛みを和らげる効果が期待できますが、痛みが強い場合や長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。セルフケアと医療機関での治療を併用することで、より効果的に膝の痛みを改善し、健康な状態を維持することができます。
10. まとめ
膝の痛みは、その種類によって原因や症状、適切な対処法が異なります。変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、鵞足炎、オスグッド・シュラッター病、関節リウマチなど、様々な疾患が膝の痛みを引き起こす可能性があります。加齢や肥満、運動不足や過度な運動、怪我、遺伝、冷えなども原因として考えられます。
膝の痛みの改善策としては、運動療法(ストレッチ、筋力トレーニング)、薬物療法(痛み止め、ヒアルロン酸注射)、手術療法(人工関節置換術、関節鏡手術)などがあります。また、日常生活では正しい姿勢を保つ、適度な運動をする、体重管理をする、冷え対策をするなどの注意点を守ることも大切です。セルフケアとして温熱療法、冷却療法、サポーターの使用、マッサージ、ストレッチなども効果的です。ご自身の症状に合った適切な方法で、膝の痛みをケアしましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。