肘を曲げるたびに感じる痛みは、日常生活やスポーツ活動に大きな支障をきたします。そのつらい肘の痛み、実は様々な原因が隠れていることをご存知でしょうか。この記事では、「肘 曲げると痛い」という悩みを抱えるあなたが、ご自身の痛みの根本原因を特定し、そこから根本的に改善していくための道筋を明確にお示しします。テニス肘やゴルフ肘といった代表的な症状から、神経や関節のトラブルまで、考えられる病気を網羅的に解説。さらに、ご自宅でできるセルフチェックや応急処置、痛みを和らげるセルフケア、そして根本的な改善と再発防止のための具体的な方法まで、あなたの悩みを解決する情報を詳しくご紹介します。もう肘の痛みに悩まされることなく、快適な毎日を取り戻しましょう。

1. 肘 曲げると痛い その症状、もしかしてあの病気

肘を曲げたときに感じる痛みは、日常生活の質を大きく低下させることがあります。しかし、その痛みの原因は一つではありません。肘の構造は複雑であり、骨、関節、筋肉、腱、神経、滑液包など、さまざまな部位が痛みの原因となり得ます。ここでは、肘を曲げると痛む場合に考えられる代表的な病気について、それぞれの特徴と症状を詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、隠れた原因を探る手がかりにしてください。

1.1 テニス肘 上腕骨外側上顆炎の痛み

「テニス肘」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、これは正式には上腕骨外側上顆炎と呼ばれる病気です。テニスをする人に多く見られることからこの名前がついていますが、テニスをしない方にも広く発生します。特に、手首を甲側に反らす動作や指を伸ばす動作を繰り返すことで、肘の外側にある腱の付け根に炎症が起き、痛みが生じます。

肘を曲げた際に痛むのは、この炎症を起こした腱が伸ばされたり、周囲の筋肉が収縮したりすることで、負荷がかかるためです。具体的な症状としては、タオルを絞る、ドアノブを回す、キーボードを打つ、重いものを持つといった動作の際に、肘の外側にズキッとした痛みや、じわじわとした鈍痛を感じることが特徴です。初期には軽い違和感程度でも、進行すると安静時にも痛むようになることがあります。

1.2 ゴルフ肘 上腕骨内側上顆炎の痛み

テニス肘と対照的に、肘の内側に痛みを覚えるのが「ゴルフ肘」、正式名称は上腕骨内側上顆炎です。ゴルフのスイング動作で肘の内側に負担がかかることから名付けられましたが、これもまたゴルフをする人だけでなく、手首を手のひら側に曲げる動作や指を強く握る動作を繰り返す方に多く見られます。

この病気では、肘の内側にある腱の付け根に炎症が生じます。肘を曲げると痛むのは、この炎症部位が圧迫されたり、関連する筋肉が緊張したりするためです。症状としては、物を握る、投げる、重いものを持つ、腕をねじるなどの動作で、肘の内側に痛みを感じることが特徴です。痛みの程度は軽い違和感から、強い痛みまでさまざまです。進行すると、肘を曲げ伸ばしするだけでも痛むようになることがあります。

1.3 野球肘 子供から大人まで要注意

野球肘は、投球動作を繰り返すことによって肘に過度な負担がかかり、様々な障害が生じる状態の総称です。特に成長期の子どもに多く見られますが、大人にも発生します。

子どもの場合は、まだ骨が柔らかく成長途上であるため、骨の端にある成長軟骨(骨端線)が損傷しやすいのが特徴です。肘の内側、外側、後ろ側など、痛む場所は多岐にわたります。具体的には、肘の内側の骨端線損傷、離断性骨軟骨炎(肘の外側の軟骨が剥がれる)、疲労骨折などがあります。肘を曲げ伸ばしする際に痛みを感じたり、肘の曲げ伸ばしの範囲が制限されたりすることがあります。

大人の場合は、靭帯の損傷や炎症、関節軟骨の摩耗などが主な原因となります。投球動作だけでなく、重量物の持ち運びや反復作業など、肘に強いストレスがかかる動作によっても発症することがあります。肘を曲げると痛むだけでなく、肘が完全に伸びない、曲げきれないといった可動域の制限も伴うことがあります。

1.4 変形性肘関節症 加齢による痛みの正体

変形性肘関節症は、肘関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで痛みが生じる病気です。主に加齢が原因とされますが、過去の外傷(骨折や脱臼など)や、長期間にわたる肘への負担(力仕事や特定のスポーツなど)も発症リスクを高めます。

肘関節の軟骨が摩耗すると、骨と骨が直接こすれ合うようになり、炎症や痛みを引き起こします。特に、肘を曲げ伸ばしする際に、関節の動きが悪くなり、ゴリゴリとした感覚や引っかかりを感じることがあります。痛みは、動き始めに強く、徐々に軽減することもありますが、進行すると安静時にも痛むようになります。また、肘の可動域が徐々に制限され、完全に曲げ伸ばしができなくなることもあります。

1.5 肘部管症候群など神経が原因の痛み

肘の痛みの中には、神経が圧迫されることによって生じるものもあります。その代表的なものが肘部管症候群です。肘の内側には「肘部管」と呼ばれるトンネルがあり、その中を尺骨神経という神経が通っています。この尺骨神経が肘部管内で圧迫されたり、引っ張られたりすることで、痛みやしびれが生じます。

肘部管症候群の症状は、肘の内側から小指と薬指の半分にかけての痛みやしびれが特徴的です。肘を曲げた状態が長く続くと、神経が伸展されて圧迫が強まるため、症状が悪化しやすい傾向があります。例えば、電話を長時間する、肘を深く曲げて寝る、といった動作で痛みやしびれが増すことがあります。進行すると、指の感覚が鈍くなったり、指を広げたり閉じたりする筋肉が弱くなり、細かい作業がしにくくなることもあります。

その他にも、肘周辺で神経が圧迫されることで、さまざまな神経症状が引き起こされる可能性があります。痛みだけでなく、しびれや感覚の異常を伴う場合は、神経の関与を疑う必要があります。

1.6 滑液包炎 肘の腫れと痛みの関係

滑液包は、関節や腱が骨とこすれる部分に存在する、摩擦を軽減するための袋状の組織です。肘の先端、特に肘を曲げたときに突出する部分には、肘頭滑液包という滑液包があります。この滑液包に炎症が起きるのが滑液包炎です。

滑液包炎の主な原因は、打撲、長時間の圧迫(机に肘をつくなど)、繰り返しの摩擦、または感染症などです。炎症が起きると、滑液包の中に液体が溜まり、肘の先端が腫れて、熱感を帯びることが特徴です。肘を曲げると、この腫れた部分が圧迫され、強い痛みを感じることがあります。見た目にも明らかな腫れがあり、触るとブヨブヨとした感触がある場合が多いです。

1.7 その他の原因 隠れた痛みの可能性

肘を曲げると痛む原因は、上記に挙げたもの以外にもいくつか考えられます。例えば、上腕二頭筋の腱に炎症が起きる上腕二頭筋腱炎や、上腕三頭筋の腱の炎症、関節リウマチや痛風といった全身性の病気が肘関節に症状を引き起こすこともあります。

また、ごく稀に、骨腫瘍や骨の感染症が肘の痛みの原因となることもあります。これらの病気は、通常の炎症や変性による痛みとは異なる経過をたどることが多いため、痛みが長引く場合や、原因が特定できない場合は、より詳細な検査が必要となることがあります。ご自身の肘の痛みがなかなか改善しない、あるいは症状が徐々に悪化していると感じる場合は、安易な自己判断は避け、専門家による適切な判断を仰ぐことが大切です。

2. あなたの肘 曲げると痛い症状をセルフチェック

肘の痛みは、その痛む場所やどのような動作で痛みが生じるかによって、原因となる状態が大きく異なります。ご自身の症状を詳しく観察することで、どのような問題が考えられるのか、そして専門家への相談を検討すべきかどうかの目安を知ることができます。

ここでは、肘の痛みの症状をセルフチェックするための具体的なポイントをご紹介します。ご自身の症状と照らし合わせながら、じっくりと確認してみてください。

2.1 痛む場所や動作から原因を探る

肘の痛みは、単に「肘が痛い」と一言で言っても、その発生部位や痛みを引き起こす動作は多岐にわたります。以下の表を参考に、ご自身の症状がどの項目に当てはまるかを確認してみましょう。痛みの場所と、どのような動きで痛みが増すのかを把握することが、原因を特定する第一歩となります。

痛む場所 痛む動作の例 考えられる原因 特徴的な症状
肘の外側 ドアノブを回す、タオルを絞る、ペットボトルの蓋を開ける、フライパンを持つ、キーボードを打つ、マウスを操作する、物を持ち上げる、手首を手の甲側に反らす動作 上腕骨外側上顆炎(テニス肘) 肘の外側の骨の出っ張り(上腕骨外側上顆)の周囲に痛みが生じます。特に手首を手の甲側に反らせる筋肉を使う特定の動作で鋭い痛みが生じやすく、安静時には痛みが和らぐことが多いです。進行すると安静時にも痛みが出ることがあります。
肘の内側 物を握る、手首を手のひら側に曲げる、重い物を持つ、ゴルフのスイング、投球動作 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘) 肘の内側の骨の出っ張り(上腕骨内側上顆)の周囲に痛みが生じます。手首を手のひら側に曲げる筋肉を使う動作で痛みが増しやすいのが特徴です。指で物を強く握る動作でも痛みを感じることがあります。
肘の後ろ側 肘を深く曲げる、肘をつく、投球動作、物を押す動作 滑液包炎、野球肘の一部 肘の尖った部分(肘頭)の周囲に痛みが生じます。特に肘頭の腫れや熱感を伴うことが多いです。野球肘の場合、投球動作で痛みが生じ、肘の曲げ伸ばしが制限されることがあります。肘をぶつけたり、繰り返し肘をついたりすることで発症することもあります。
小指・薬指のしびれや痛み 肘を長時間曲げたままにする、肘をつく 肘部管症候群 肘の内側を通る神経(尺骨神経)が圧迫されることで、小指と薬指の半分にしびれや感覚の鈍さ、力が入りにくいなどの症状が現れます。進行すると手の筋肉がやせ細ることもあります。
肘関節全体 肘の曲げ伸ばし全般、特に深く曲げたり伸ばしたりする動作 変形性肘関節症 関節の動きが悪くなり、曲げ伸ばしの際に引っかかり感やゴリゴリとした音を感じることがあります。加齢や過去の怪我などが原因で関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで痛みが生じます。進行すると安静時にも痛みが出ることがあります。
肘全体が腫れて熱感がある 肘をつく、圧迫する 滑液包炎、炎症 肘頭(肘の尖った部分)の皮膚の下が赤く腫れ上がり、触ると熱を持っているように感じることが多いです。痛みは軽度なこともあれば、炎症が強いと激しくなることもあります。細菌感染を伴う場合もあります。
肘だけでなく広範囲に痛み 首や肩を動かす動作、手首の動作 その他の原因(神経根症など) 肘だけでなく、首や肩、手首にも関連する痛みやしびれがある場合は、神経の圧迫や広範囲な問題が隠れている可能性があります。痛みの原因が肘関節そのものではないことも考えられます。

上記の症状に加えて、痛みが生じる前に何か特定の活動(スポーツ、仕事、家事など)を始めたか、またはその活動の強度や頻度を上げたかなども、原因を考える上で重要なヒントになります。

2.2 痛みの強さや頻度で受診の目安を知る

肘の痛みが一時的なものであれば、ご自身でのケアで改善することもあります。しかし、痛みの程度や持続期間、その他の症状によっては、早めに専門家へ相談することが大切です。以下のチェックリストを参考に、ご自身の症状がどの程度深刻であるかを確認し、適切なタイミングで専門家の助けを求める目安にしてください。

項目 専門家への相談を検討すべき目安となる症状
痛みの程度 安静にしていても痛みが続く、または夜間も痛みで目が覚めてしまう
痛みが日常生活動作(着替え、食事、入浴、物を持つ、パソコン作業など)に著しい支障をきたしている
痛みが徐々に強くなっており、市販の鎮痛剤や湿布で対処できない
症状の持続期間 痛みが数日以上改善せず、悪化傾向にある
痛みが一時的に和らいでも、すぐに再発を繰り返す
その他の症状 肘の腫れ、熱感、赤みが明らかに見て取れる
肘を曲げ伸ばしできる範囲が明らかに狭くなっている、または特定の角度でロックされるような感覚がある
指先までしびれがある、または握力が低下している、物がつかみにくいなどの感覚や運動の異常がある
肘の形が明らかに変わって見える、または触ると骨の異常を感じる
発熱を伴うなど、全身の不調がある
過去に肘を強くぶつけたり、転倒したりといった外傷の経験がある
原因の有無 思い当たる原因がないのに肘が痛む
ご自身での応急処置やセルフケアを試みたが、一向に改善が見られない

これらの症状のいずれかに当てはまる場合は、自己判断で放置せず、できるだけ早く専門家へ相談することをおすすめします。早期に適切な診断とケアを受けることで、痛みの長期化や悪化を防ぎ、より早く回復へと導くことができます。特に、しびれや関節の変形、発熱を伴う場合は、速やかな対応が求められます。

3. 肘 曲げると痛い時の応急処置とセルフケア

肘に痛みを感じたとき、まずはご自身でできる応急処置やセルフケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることが期待できます。ここでは、ご自宅で実践できる具体的な方法をご紹介いたします。

3.1 まずは安静とアイシングで炎症を抑える

肘を曲げると痛いと感じた場合、特に急な痛みや、熱感、腫れを伴う場合は、まず安静にすることが最も大切です。無理に動かすことで炎症が悪化し、回復が遅れる可能性があります。痛みを誘発するような動作は避け、肘を休ませるようにしてください。

次に、アイシング(冷却)を行うことで、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、痛む部分に当ててください。直接肌に当てると凍傷になる危険があるため、必ずタオルなどで包むようにしてください。

  • 冷却時間の目安は、1回につき15分から20分程度です。
  • 1日に数回、痛みが強い時や運動後に行うと良いでしょう。
  • 冷やしすぎると血行が悪くなることもあるため、感覚がなくなるまで冷やさないように注意してください。

初期の炎症を適切に管理することが、その後の回復に大きく影響します。冷却後には、肘を温めることはせず、血行を促進するようなマッサージも避けて、安静を保つように心がけてください。

3.2 肘の負担を減らすサポーターの選び方

肘のサポーターは、痛む部位を保護し、肘にかかる負担を軽減する目的で使用します。ご自身の痛みの種類や活動内容に合わせて、適切なサポーターを選ぶことが重要です。

サポーターには大きく分けて、肘全体を覆うタイプと、特定の腱を圧迫するバンドタイプがあります。

サポーターの種類 特徴 適応 注意点
肘全体を覆うタイプ 関節全体を広範囲に保護し、安定させます。保温効果も期待でき、冷えによる痛みの悪化を防ぐこともできます。 関節全体の不安定感、広範囲の痛み、冷えによる痛みの悪化、日常使いでの保護。 圧迫が強すぎないか確認し、長時間の使用でかゆみや違和感がないか確認します。
バンドタイプ(テニス肘バンドなど) 特定の腱の付着部をピンポイントで圧迫し、腱への負担を軽減します。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)やゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)など、腱の付着部に集中する痛み。 適度な締め付けが重要です。血行不良やしびれがないか確認し、装着位置は痛みが軽減される場所に調整します。

サポーターを選ぶ際は、ご自身の肘のサイズに合ったものを選び、装着時に違和感がないかを確認してください。また、就寝時は血行を妨げる可能性があるため、外すことを推奨します。サポーターはあくまで補助的なものであり、根本的な治療ではないことを理解し、適切なケアと併用することが大切です。

3.3 痛みを和らげる効果的なストレッチ

肘の痛みが少し落ち着いてきたら、無理のない範囲でストレッチを取り入れることで、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進し、回復を助けることができます。ただし、痛みを感じる場合はすぐに中止し、決して無理はしないでください。ストレッチは、ゆっくりと呼吸をしながら行い、各動作を20秒から30秒程度保持するのが目安です。

ストレッチの種類 やり方 期待される効果 注意点

3.3.1 前腕伸筋群のストレッチ(テニス肘の場合)

手のひらを下にして腕を前に伸ばします。もう一方の手で、伸ばした手の指先を掴み、手首をゆっくりと下に曲げ、手の甲を体の方へ引き寄せます。前腕の外側(肘から手首にかけての筋肉)が伸びているのを感じながら、深呼吸をしながら保持します。 前腕の外側にある筋肉(伸筋群)の柔軟性を高め、肘への負担を軽減します。血行促進にもつながります。 痛みを感じたらすぐに中止してください。反動をつけずに、ゆっくりと伸ばすことが大切です。

3.3.2 前腕屈筋群のストレッチ(ゴルフ肘の場合)

手のひらを上にして腕を前に伸ばします。もう一方の手で、伸ばした手の指先を掴み、手首をゆっくりと下に曲げ、手のひらを体の方へ引き寄せます。前腕の内側(肘から手首にかけての筋肉)が伸びているのを感じながら、深呼吸をしながら保持します。 前腕の内側にある筋肉(屈筋群)の柔軟性を高め、肘への負担を軽減します。ゴルフ肘の症状緩和に役立ちます。 痛みを感じたらすぐに中止してください。無理に伸ばしすぎないように注意が必要です。

3.3.3 手首の回旋運動

肘を軽く曲げ、腕を体の横に下ろします。手のひらを上に向けてから、ゆっくりと下に向けて、手首を内側と外側に回旋させます。この動作をゆっくりと繰り返し、手首から肘にかけての筋肉をほぐします。痛みがない範囲で、左右それぞれ10回程度行ってみてください。 手首と前腕の筋肉の緊張を和らげ、可動域の改善や血行促進に貢献します。 痛みを感じない範囲で行い、急な動きは避けてください。

これらのストレッチは、入浴後など体が温まっているときに行うと、より効果的です。毎日継続することで、筋肉の柔軟性が向上し、痛みの軽減や再発予防につながります。しかし、ストレッチ中に痛みが増したり、新たな痛みを感じた場合は、すぐに中止し、専門家にご相談ください。

4. 病院へ行くべきか 肘の痛みの受診目安

肘を曲げると感じる痛みは、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。しかし、「この程度の痛みで専門機関に相談すべきなのだろうか」と迷う方も少なくありません。

ここでは、ご自身の症状が専門家による診察を必要とするサインなのかどうかを見極めるための目安について詳しく解説します。適切なタイミングで専門家の助けを求めることで、症状の悪化を防ぎ、早期の改善につながります。

4.1 どのような症状で専門家への相談を検討すべきか

肘の痛みが以下のいずれかの状態に当てはまる場合、一度、専門機関で相談することを強くお勧めします。これらの症状は、単なる筋肉疲労ではなく、より専門的な診断と治療が必要な状態である可能性を示唆しています。自己判断で放置せず、適切なアドバイスを求めることが大切です。

症状の種類 具体的な目安
痛みの程度と持続期間
  • 安静にしていても痛みが続く場合
  • 痛みが徐々に強くなっている、または急激に悪化したと感じる場合
  • 痛みが数日以上改善せず、むしろ悪化している場合
  • 夜間も痛みが強く、睡眠が妨げられる場合
  • 痛みが2週間以上続いている場合
日常生活への影響
  • 物を持つ、ドアを開ける、着替える、食事をするなどの日常動作が困難になった場合
  • 仕事や趣味、スポーツ活動に支障が出ている場合
  • 痛みのせいで、精神的なストレスを感じるようになった場合
  • 痛みをかばうことで、肩や首など他の部位にも痛みが生じてきた場合
その他の症状の有無
  • 肘の腫れ、熱感、赤みがある場合
  • 肘を動かせる範囲が明らかに狭くなった、または動かせない場合
  • 腕や指にしびれや脱力感がある場合
  • 発熱など、全身症状を伴う場合
  • 肘を曲げ伸ばしする際に、引っかかりや異音を感じる場合
セルフケアの効果
  • 安静やアイシングなどのセルフケアを試しても、痛みが全く改善しない、あるいは悪化している場合
  • 市販の痛み止めや湿布を使用しても、痛みが一時的にしか和らがない場合
  • インターネットなどで調べたストレッチや運動を試したが、かえって痛みが強くなった場合

4.2 何科を受診すべきか 適切な専門機関の選び方

肘の痛みで専門機関を訪れる際、「何科に行けば良いのか」と迷うかもしれません。肘の痛みは骨や関節、筋肉、神経など、さまざまな組織が原因となるため、その専門性を持つ機関を選ぶことが重要です。

一般的に、肘の痛みや関節のトラブルを専門とするのは、運動器の疾患を扱う専門機関です。これらの専門機関では、骨、関節、筋肉、靭帯、神経などの運動器の病気や怪我を診断し、治療を行います。体の動きに関わる部位の専門家が、あなたの肘の痛みの原因を特定し、適切な治療方針を提案してくれるでしょう。

もし、どの専門機関を選ぶべきか判断に迷う場合は、まずはご自身の地域の体の動きに関する症状を診る専門機関に相談してみることをお勧めします。初診時に症状を詳しく伝えることで、適切な診断と治療方針が示されるでしょう。必要に応じて、より専門的な検査や治療を行う機関へ紹介されることもあります。

受診の際には、いつから痛みがあるのか、どのような時に痛むのか、痛みの強さ、他に気になる症状はないかなど、できるだけ具体的に伝える準備をしておくとスムーズです。特に、痛みが始まったきっかけや、悪化する動作、和らぐ動作などは、診断の手がかりとなる重要な情報です。また、過去に肘を怪我した経験や、現在行っているスポーツ、仕事内容なども重要な情報となることがあります。

早期に専門家の意見を聞くことで、症状の長期化や慢性化を防ぎ、より早く快適な日常生活を取り戻すことにつながります。自己判断で無理をせず、専門機関の力を借りることを検討してください。

5. 肘 曲げると痛い根本治療の選択肢

肘の痛みが日常生活に支障をきたし、セルフケアだけでは改善が見られない場合、専門的な治療を検討することが重要です。ここでは、根本的な原因にアプローチし、痛みを軽減して機能回復を目指すための様々な治療選択肢について詳しく解説します。

5.1 専門医による正確な診断と検査

肘の痛みの根本原因を特定するためには、専門的な知識を持つ医療機関での正確な診断が不可欠です。自己判断に頼らず、適切な治療へと進む第一歩となります。

5.1.1 丁寧な問診と視診・触診

まず、いつから、どのような状況で痛みが生じたのか、痛みの性質、強さ、頻度、痛む動作などについて詳しくお伺いします。その後、肘の状態を目で見て(視診)、実際に触れて(触診)、腫れや熱感、圧痛の有無、関節の動きなどを確認します。これらの情報から、痛みの原因となっている可能性のある疾患を絞り込みます。

5.1.2 画像検査による詳細な評価

より詳細な状態を把握するために、以下のような画像検査が行われることがあります。

  • レントゲン検査: 骨の異常や変形、石灰化の有無などを確認します。
  • 超音波(エコー)検査: 腱や靭帯、筋肉などの軟部組織の状態、炎症の有無、液体の貯留などをリアルタイムで観察できます。
  • MRI検査: 骨だけでなく、腱、靭帯、軟骨、神経など、あらゆる組織の詳細な状態を立体的に把握し、小さな損傷や炎症も検出できます。
  • 神経伝導速度検査: 肘部管症候群など、神経が原因の痛みが疑われる場合に、神経の伝達速度を測定し、神経の圧迫や損傷の程度を評価します。

これらの検査結果を総合的に判断することで、一人ひとりの症状に合った最適な治療計画を立てることが可能になります

5.2 薬物療法や注射療法で痛みをコントロール

炎症や痛みが強い時期には、薬物や注射によって症状を和らげ、回復を促す治療が行われます。

5.2.1 内服薬による治療

主に炎症を抑え、痛みを和らげる目的で処方されます。

薬の種類 主な作用 適応される症状
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs) 炎症を抑え、痛みを和らげます。 テニス肘、ゴルフ肘、滑液包炎など、炎症を伴う痛み
神経障害性疼痛治療薬 神経の過敏性を抑え、神経による痛みを軽減します。 肘部管症候群など、神経の圧迫や損傷による痛み
筋弛緩剤 筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。 筋肉の過緊張が原因で生じる痛みやこわばり

これらの内服薬は、症状に応じて適切に選択され、痛みの緩和に役立ちます。

5.2.2 外用薬による治療

患部に直接作用させることで、炎症や痛みを局所的に抑えます。

  • 湿布薬: 患部に貼ることで、消炎鎮痛成分が皮膚から吸収され、炎症や痛みを和らげます。冷湿布と温湿布があり、症状や時期によって使い分けます。
  • 塗り薬(ゲル、クリームなど): 患部に塗布することで、有効成分が浸透し、炎症や痛みを軽減します。

5.2.3 注射療法による治療

局所的に高い効果を期待できる治療法です。

注射の種類 主な作用 適応される症状 注意点
ステロイド注射 強力な抗炎症作用により、炎症と痛みを迅速に抑えます。 テニス肘、ゴルフ肘、滑液包炎など、強い炎症を伴う痛み 頻繁な使用は組織の脆弱化を招く可能性があるため、回数に制限があります。
ヒアルロン酸注射 関節の潤滑性を高め、軟骨の保護や痛みの軽減に寄与します。 変形性肘関節症など、関節の滑りが悪い場合 関節内の滑りを改善し、痛みを和らげます。
PRP(多血小板血漿)療法 自身の血液から抽出した成長因子を豊富に含む血漿を注入し、組織の修復を促進します。 慢性的な腱炎(テニス肘、ゴルフ肘など)で、他の治療法で改善が見られない場合 自身の血液を使用するため、アレルギー反応のリスクが低いとされています。
神経ブロック注射 痛みの原因となっている神経の興奮を抑え、痛みを遮断します。 肘部管症候群など、神経の圧迫や炎症による強い痛み 一時的な効果ですが、痛みの悪循環を断ち切るのに有効です。

これらの薬物療法や注射療法は、痛みを早期にコントロールし、リハビリテーションなどの次のステップへ進むための準備として重要な役割を果たします

5.3 リハビリテーションで機能回復を目指す

痛みが軽減したら、根本的な改善と再発防止のためにリハビリテーションが非常に重要です。専門家による指導のもと、段階的に機能回復を目指します。

5.3.1 運動療法

肘関節周辺の筋肉や腱の柔軟性を高め、筋力を強化することで、肘への負担を軽減し、正しい体の使い方を習得します。

運動療法の種類 主な目的 具体的な内容
ストレッチ 筋肉や腱の柔軟性を向上させ、関節の可動域を広げます。 手首や前腕の筋肉、上腕の筋肉をゆっくりと伸ばす運動。
筋力トレーニング 肘関節を支える筋肉(前腕筋、上腕筋など)を強化し、安定性を高めます。 軽いダンベルやセラバンドを使った抵抗運動、握力強化運動。
協調性・バランス訓練 肘関節と周囲の筋肉が協調して働く能力を高めます。 日常生活やスポーツ動作に近い動きを取り入れた訓練。
可動域訓練 痛みなく肘を曲げ伸ばしできるよう、関節の動きを改善します。 他動運動や自動運動で、徐々に可動範囲を広げる運動。

これらの運動は、個々の症状や体力に合わせて調整され、無理なく継続することが大切です

5.3.2 物理療法

物理的な刺激を与えることで、痛みの緩和、血行促進、組織の修復促進などを図ります。

物理療法の種類 主な目的 具体的な内容
温熱療法 血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。 ホットパック、温浴、超音波治療(温熱効果)など。
寒冷療法 炎症を抑え、腫れや痛みを軽減します。 アイシング、冷却パックなど。
電気治療 低周波や高周波の電気刺激により、痛みの軽減や筋肉の緊張緩和、血行促進を図ります。 低周波治療器、干渉電流型低周波治療器など。
超音波治療 深部の組織に温熱効果や非温熱効果(微細な振動)を与え、炎症の抑制や組織修復を促進します。 超音波治療器を用いた患部への照射。
手技療法(マッサージなど) 硬くなった筋肉や組織をほぐし、血行を改善し、痛みを和らげます。 専門家によるマッサージ、関節モビライゼーションなど。

リハビリテーションは、痛みの原因となっている動作の改善や、再発しにくい体づくりを目的としています。専門家の指導のもと、継続的に取り組むことで、肘の機能が回復し、活動的な日常生活を取り戻すことができます。

5.4 改善が見られない場合の手術療法

非手術的な治療を一定期間行っても痛みが改善しない場合や、症状が非常に重く日常生活に大きな支障をきたしている場合には、手術療法が検討されることがあります。手術は、痛みの原因となっている組織を直接的に修復または除去することで、根本的な改善を目指します。

5.4.1 テニス肘・ゴルフ肘に対する手術

慢性的な炎症や腱の変性が進んだ場合に行われます。

  • 腱の剥離術・切除術: 損傷した腱の一部を剥がしたり、切除したりすることで、痛みの原因を取り除きます。
  • 腱の修復術: 腱の断裂や重度の損傷がある場合に、腱を縫合したり、補強したりして修復します。

5.4.2 肘部管症候群に対する手術

尺骨神経の圧迫が強く、神経症状が進行している場合に行われます。

  • 尺骨神経剥離術: 圧迫されている尺骨神経の周囲の組織を剥がし、神経の自由な動きを確保します。
  • 尺骨神経前方移行術: 圧迫を受けやすい肘の内側から、尺骨神経を前方に移動させ、圧迫を解除します。

5.4.3 変形性肘関節症に対する手術

関節の変形が進行し、強い痛みや可動域制限がある場合に行われます。

  • 関節形成術: 変形した骨の一部を削ったり、骨棘(こつきょく)を除去したりして、関節の動きを改善し、痛みを和らげます。
  • 人工肘関節置換術: 重度の変形や損傷がある場合に、肘関節を人工の関節に置き換える手術です。これにより、痛みの劇的な軽減と関節機能の回復が期待できます。

手術療法は、最終的な選択肢として慎重に検討されます。手術のメリット、デメリット、リスクについて、専門家と十分に話し合い、納得した上で決定することが重要です。術後には、早期の機能回復を目指して、必ずリハビリテーションが行われます。

6. 肘の痛みを繰り返さないための予防策

肘の痛みが改善しても、そこで終わりではありません。再発を防ぎ、健康な肘を維持するためには、日頃からの意識と継続的なケアが非常に重要です。日常生活やスポーツ、仕事における習慣を見直し、肘に負担をかけない体の使い方を身につけることで、痛みのない快適な毎日を送ることが可能になります。ここでは、痛みを繰り返さないための具体的な予防策について詳しくご紹介します。

6.1 日常生活やスポーツでの注意点

肘の痛みは、日常生活のちょっとした動作やスポーツでの不適切なフォーム、過度な負荷が原因となることが少なくありません。これらの習慣を見直し、肘への負担を軽減することが予防の第一歩となります。

6.1.1 日常生活での肘への負担を減らす工夫

普段の生活の中で無意識に行っている動作が、肘に大きな負担をかけていることがあります。特に、重いものを持つ時やパソコン、スマートフォンを使う時の姿勢には注意が必要です。

活動内容 具体的な注意点と工夫
重いものを持つ時 肘だけで持ち上げようとせず、体全体を使って持ち上げることを意識してください。膝を曲げて腰を落とし、体の中心で荷物を支えるようにすると、肘への負担が分散されます。片方の肘だけでなく、両腕で均等に支えるようにしましょう。
パソコン作業 キーボードやマウスの操作時に、手首や肘が不自然な角度にならないように注意してください。机の高さや椅子の高さを調整し、肘が直角に近く、手首がまっすぐになるような姿勢を保つことが大切です。定期的に休憩を取り、腕や肩のストレッチを行いましょう。
スマートフォン操作 長時間、片手でスマートフォンを操作すると、肘や手首に負担がかかります。両手で支える、またはスタンドを利用するなどして、肘への負担を減らしましょう。画面を見る際も、首や肩だけでなく、体全体で姿勢を調整してください。
家事や育児 掃除や料理、お子さんの抱っこなど、繰り返し行う動作が多い家事や育児は、肘に負担をかけやすいです。無理な姿勢を避け、道具を工夫する(例: 軽量な掃除用具を使う、抱っこ紐を活用する)などして、肘への負担を軽減しましょう。
睡眠時の姿勢 寝ている間に肘を圧迫したり、不自然な角度で長時間保持したりしないように注意してください。横向きに寝る場合は、抱き枕などを利用して腕の位置を安定させると良いでしょう。

6.1.2 スポーツ活動における肘の保護

スポーツの種類によっては、肘に大きな負荷がかかることがあります。適切な準備とケア、そしてフォームの改善が再発防止には不可欠です。

  • ウォーミングアップとクールダウンの徹底
    運動前には、肘や肩、手首の関節を十分に温め、筋肉をほぐすウォーミングアップを必ず行いましょう。これにより、筋肉や腱の柔軟性が高まり、怪我のリスクを減らすことができます。運動後には、疲労した筋肉をゆっくりと伸ばすクールダウンを行い、血行を促進し、疲労回復を促してください。
  • 適切な道具の選択と調整
    テニスラケットやゴルフクラブ、野球のグローブなど、スポーツで使用する道具が肘への負担に影響を与えることがあります。ご自身の体格や筋力に合った重さ、バランスの道具を選ぶことが重要です。また、グリップの太さや硬さ、ガットの張りの強さなども、肘への負担を考慮して調整しましょう。
  • 練習量と休息のバランス
    過度な練習や急激な負荷の増加は、肘の痛みを引き起こす大きな原因となります。練習計画を立てる際は、段階的に負荷を上げていくこと、そして十分な休息期間を設けることを意識してください。疲労が蓄積する前に、積極的に休息を取り入れましょう。
  • 特定の動作の見直し
    野球の投球動作、テニスのストローク、ゴルフのスイングなど、肘に負担がかかりやすい特定の動作がある場合は、体の専門家や指導者からアドバイスを受け、フォームを見直すことをおすすめします。肘だけでなく、全身を使った効率的な動きを習得することが大切です。

6.2 正しい体の使い方とフォームの習得

肘の痛みを予防するためには、単に痛い部分を休ませるだけでなく、体全体のバランスと連動性を意識した「正しい体の使い方」を身につけることが重要です。特に、肘に負担を集中させないための全身運動の意識と、効率的なフォームの習得が鍵となります。

6.2.1 全身運動の意識と関節の連動性

肘は、肩や手首、そして体幹と連動して動く関節です。肘だけに頼った動作は、過度な負担を招きやすいため、体全体を使ったスムーズな動きを意識することが大切です。

  • 体幹の活用
    物を持ち上げたり、投げたりする動作では、まず体幹(お腹周りや背中)を安定させることが重要です。体幹がしっかりしていれば、腕や肘への負担が軽減され、より大きな力を効率的に発揮できます。
  • 下半身からの連動
    スポーツ動作では、多くの場合、地面からの力を下半身、体幹、肩、そして肘へと順に伝えていきます。下半身の力を十分に使い、そのエネルギーを腕に伝えることで、肘への直接的な負担を減らし、パフォーマンス向上にも繋がります。
  • 肩甲骨の動き
    肘の動きは、肩甲骨の安定性と可動域に大きく影響されます。肩甲骨を意識的に動かすことで、腕全体の連動性が高まり、肘への負担を分散することができます。

6.2.2 スポーツや仕事における適切なフォームの習得

特定の動作を繰り返し行うスポーツや仕事では、効率的で肘に優しいフォームを習得することが、痛みの予防に直結します。

  • スポーツフォームの見直し
    テニス、ゴルフ、野球などのスポーツでは、適切なフォームが肘への負担を大きく左右します。自己流のフォームで無理を続けると、特定の筋肉や関節に過度なストレスがかかり、痛みの原因となります。必要であれば、経験豊富な指導者や体の専門家から指導を受け、ご自身のフォームを客観的に見直しましょう。全身のバランス、力の入れ方、関節の角度などを細かく調整することで、肘への負担を軽減し、パフォーマンスの向上も期待できます。
  • 作業姿勢の改善
    デスクワークや立ち仕事など、同じ姿勢を長時間続けることが多い場合は、作業環境と姿勢を見直すことが大切です。例えば、パソコン作業では、モニターの高さ、キーボードやマウスの位置、椅子の座り方などを調整し、肘や手首、肩に負担がかからない自然な姿勢を保つようにしましょう。定期的に姿勢を変えたり、軽いストレッチを取り入れたりすることも効果的です。
  • 無理な姿勢や動作の回避
    日常生活においても、不自然な体のひねりや、肘を伸ばしきった状態での力仕事などは避けるように心がけてください。特に、急な動きや、反復性の高い動作を行う際は、事前に体の準備を整え、無理のない範囲で行うことが重要です。

6.3 再発防止のための継続的なケア

一度改善した肘の痛みが再発しないようにするためには、日々の継続的なケアが欠かせません。セルフケアを習慣化し、体の変化に敏感になることで、早期に異変を察知し、適切な対処ができるようになります。

6.3.1 効果的なセルフケアの習慣化

自宅で手軽に行えるセルフケアは、肘の健康を維持するための重要な要素です。日々の生活に無理なく取り入れられるものを選び、継続していきましょう。

  • 定期的なストレッチとマッサージ
    肘周辺の筋肉(前腕屈筋群、伸筋群)や、肩、手首の筋肉を毎日丁寧にストレッチしましょう。筋肉の柔軟性を保つことで、肘への負担を軽減できます。また、痛みのない範囲で、優しくマッサージを行うことも血行促進に繋がり、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。
  • バランスの取れた筋力トレーニング
    肘の安定性を高めるためには、肘周辺だけでなく、肩や体幹を含めた全身の筋力バランスを整えることが重要です。特に、肘を支える前腕の筋肉を強化することは効果的ですが、負荷をかけすぎないよう、軽い負荷から始め、徐々に強度を上げていきましょう。体の専門家や指導者に相談し、ご自身に合ったトレーニングメニューを組むことをおすすめします。
  • 温熱療法と冷却療法の適切な利用
    痛みが強い時や炎症が疑われる場合は、冷却(アイシング)で炎症を抑えることが有効です。一方、慢性的な痛みや筋肉の緊張緩和には、温熱(温める)が効果的です。ご自身の肘の状態に合わせて、これらを適切に使い分けましょう。
  • サポーターの適切な使用
    スポーツや作業時に肘に負担がかかる場合は、エルボーバンドやサポーターを装着することで、肘関節や腱への負担を軽減できます。ただし、サポーターはあくまで補助的なものであり、頼りすぎずに、根本的な体の使い方やフォームの改善と併用することが大切です。

6.3.2 生活習慣の見直しと早期対応

体の健康は、日々の生活習慣に大きく左右されます。肘の痛みの再発を防ぐためには、全身の健康状態を良好に保つことも重要です。

  • 十分な休息と睡眠
    疲労が蓄積すると、筋肉の回復が遅れ、怪我のリスクが高まります。質の良い睡眠を十分に取ることで、体全体の回復力を高め、肘の健康維持にも繋がります。
  • バランスの取れた食事
    筋肉や腱の修復、炎症の抑制には、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取することが不可欠です。偏りのない食事を心がけ、体の内側からも健康をサポートしましょう。
  • ストレス管理
    ストレスは、体の緊張を高め、痛みを悪化させる要因となることがあります。適度なリフレッシュや趣味の時間を設け、心身ともにリラックスできる時間を作りましょう。
  • 体の変化への敏感さ
    少しでも肘に違和感や軽い痛みを感じたら、無理をせずに活動を控える、または負荷を減らすことが大切です。痛みが悪化する前に適切な対処をすることで、重症化を防ぎ、早期回復に繋がります。ご自身の体の声に耳を傾け、異変を感じたら、放置せずに早めに対処しましょう。

7. まとめ

「肘を曲げると痛い」という症状は、テニス肘やゴルフ肘のような炎症から、神経の圧迫、関節の変形まで、原因が多岐にわたります。自己判断に頼らず、まずは痛みの種類や状況を把握することが大切です。

日々のセルフケアや予防策も重要ですが、症状が改善しない場合や悪化する際は、専門家への相談をためらわないでください。早期に正確な診断を受け、適切な治療とリハビリテーションを行うことが、根本的な改善と再発防止につながります。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。